人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2005年 02月 28日

アカデミー賞作品賞に「ミリオンダラー・ベイビー」

アカデミー賞作品賞に「ミリオンダラー・ベイビー」_a0000270_84957.jpg第77回アカデミー賞の結果が発表になりました。
作品賞、監督賞(クリント・イーストウッド)、主演女優賞(ヒラリー・スワンク)、助演男優賞(モーガン・フリーマン)を受賞したのは「ミリオンダラー・ベイビー」 原作のある作品です(笑)。

「ミリオン・ダラー・ベイビィ」はF・X・トゥール(本名ジェリー・ボイド)の作品集「Rope Burns: Stories From the Corner」(邦題「テン・カウント」)中の1篇。
トゥールは様々な職についた後、50近くになってボクサーを志し、その後トレーナーに転じた人物。96年に心臓発作を起こしたのを機に筆を執り、70歳にして発表したのがこの作品集。

F・X・トゥールは既に亡くなっているので、遺族エレン・パトリシア・ボイド(トゥールの娘)のthe 17th annual Scripter Award、best film adaptation of a book or novella受賞時のコメントを引用したいと思います(脚色家のポール・ハギスと共に受賞)。

This evening, my father watches from above as we celebrate his work. He watches from above as his children bathe in his glory. My father won his fight and now rests in peace.

娘さんのコメントに思わずもらい泣きしてしまったのは、原作を読んでいるせい、そして訳者あとがきに書かれていたトゥールの言葉が印象に残っているからなのですが(注)、脚本家のハギスは脚色にあたって「トゥールのストーリーの美しさを守り、トゥールが恐れていたような"another bull-boxing movie."にならないように気をつけた」とも語っています(17th annual Scripter Award)。

今回アカデミー賞の脚色賞は「サイドウェイ」のアレキサンダー・ペインとジム・タイラーでポール・ハギスは受賞を逃していますが…(実は「サイドウェイ」の作者、レックス・ピケットのインタビュー抜粋も用意していた 笑)

私はまだこの「ミリオンダラー・ベイビー」を見ていないのですが、これを映画化する…と聞いたとき"素晴らしくいい題材であるが、映画化は非常に難しい"と思った。
昨年米でこの映画が公開された後は評価も高く、この映画がオスカーを受賞して欲しい、と思っていたけれど、実際に受賞するのは難しいのではないか…とも(笑)。
きっといい映画に仕上がっているんだろうね(トゥールが映画を見て何と言ったか聞きたかったなあ。今日も上から見てたかね?)。
日本での公開が楽しみです。


注 「自分は、全ての女性との関係に失敗し(トゥールは何度か離婚している)、父親としても失敗し、闘牛士としてもマタドールになれなかったし(海軍勤務後、メキシコで闘牛士をしていたらしい)、確かに物は書きはしたが、小説家とはいいがたい」 (「テン・カウント」早川書房 訳者あとがき より カッコ内ははむちゅう)

表紙 テン・カウント 早川書房
参考 USC Scripter Award

by hamchu | 2005-02-28 14:13 | 映画と原作者 | Comments(1)
Commented by hamchu at 2005-05-29 16:57
ようやく"stories from Rope Burns"の理由が判明(笑)。
恥ずかしながら去年の今頃は「ロープ・バーン」+「ミリオンダラー・ベイビィ」だと思っていて(どんなストーリーじゃ)、おかしいなあ…と(「硫黄島の星条旗」製作が発表になったころにタイトルが「ロープ・バーン」に変更?と一部で流れて、この勘違いに拍車をかけることに)。まいったまいった(このようなことはままあるので巷のニュースも私の書くことも話半分くらいで)。


<< 【映画】ソフィア・コッポラの「...      全米映画興行収益 速報 05年... >>